
—まず、SKサーフボードのシェイパーを教えてください。どんな人たちなんでしょうか?
糟谷修自(以下糟谷):一人はクリス・ギャラガー。元WCTの選手で、サンタクルーズ出身のハワイ在住。サーファーとして有名だけど、シェイパーとしてもCJホブグッドやダミアン・ホブグッド、パンチョ・サリバンなど多くのトッププロから信頼されている人物なんだ。
もう一人はマット・イエクサで、かつてはエリック・アラカワのファクトリーで工場長をやっていた人物だよ。
—二人はどんな性格なんですか?
糟谷:マットはすごくメロウ。カリフォルニアのハンティントンビーチのすぐ上に位置するシールビーチが出身地で、エリックの工場長をやる前はタウン&カントリーでラスKのサーフボードをシェイプしてたんだ。それからシェイプの仕事を辞めようと思ったこともあったらしいけど、そのときちょうど独立したばかりのエリックが「こんないいシェイパーが辞めるのはもったいない!」と言って工場に迎えたっていう経緯がある。
クリスは几帳面で職人気質なところがあるね。いいものを作りたい、っていう気持ちが強い人物。だから、シェイプでも、クルマで例えるとF1を作っているような感じで、極限まで突き詰めるタイプなんだ。パイプライン、グラジガン、日本など、世界中を旅していろんな波に乗ってきたバックグラウンドがあるし、水の流れのこともすごくわかっているシェイパーだよ。それと、CJやダミアンにコーチングもしているんだ。サーフィン全般に関して理解が深いって言うことができるんだけど、そのことはクリスのボードに乗ってみるとすぐにわかるはずだよ。アイデアも豊富だから、自分も話していてすごく楽しいね。
—新しいことにもチャレンジしていくタイプでもあるんですか?
糟谷:そうだね。クリスは新しいことに挑戦しながらも、自分の持ち味を理解し、表現していくシェイパーって言える。軸を持ちながら進化させていくっていえばわかりやすいかもしれない。
マットはいろんなボードを見てきているから、すごく柔軟性に富んでいるんだ。どんなリクエストにも対応してくれる。ロングからショート、ファンボードまでなんでもフレキシブルにシェイプできるしね。今まで会ってきたシェイパーの中で、マットほどイージーゴーイングな人はいないよ。他の人に対してとても気を使うし、素晴らしい人物なんだ。
—クリスとマットがサーフボード・メイキングにおいて目指しているところはどこなんですか?
糟谷:クリスはトッププロに対してボード開発を行っているから、常にコンペティション・シーンに近いところにいるよね。ボードメイキングにおいて、サーフシーンの頂点を目指しているし、実際、そこにいるシェイパーだと思う。WTの会場にもよく顔を出しているから、現場を本当によく知っているし。でも、もちろん自分のボードをトッププロだけじゃなくて、いろんなサーファーに乗ってもらいたいと思っているけどね。
マットはどんなレベルのサーファーでも、その人にベストなボードを作ろうって思っているシェイパーだね。結局、二人がたどり着く場所は同じで、乗り手にとって一番いいボードを削る、っていうことだけど、そこまでのアプローチが少し違うって言える。
—二人が作るボードは、他のサーフボードと特にどんなところが違いますか?
糟谷:クリスに関しては、ボードのエッジの出し方が特に違う。具体的に言うと、今は「タックイン」と言って、エッジを内側に入れるデザインが多いんだけど、クリスの場合はエッジが外側に出ているデザインを採用している。そのほうが水に当たったときのキレが増すんだ。だからレールが使いやすくて、ドライブが効くっていう利点がある。それでいて、例えばオンショアの波でレールがひっかかりやすくなるとか、そういったエッジを外側に出したときの欠点は、トータルバランスを取ることで解消されているんだ。コーチングをしているときもそうなんだけど、クリスはそのサーファーのどこが悪いのか、すぐに分析をして、それを的確に伝えて修正をすることができる。そんなクリスの高い能力はボード作りにもよく表われているよ。
マットは何をやっても器用だっていうのが特徴の一つだね。絵も上手いし、料理も上手い。何をやらせても対応能力が高くて、それがボード作りにおいても最大の武器になっているよ。
—日本の波に対してどんなアレンジをしているんですか?
糟谷:アウトラインを変えてるよ。日本の波は海外の波と比べて若干パワーが劣るから、その分のアレンジは必要になってくる。多少ロッカーも変えているしね。その中で他の部分とのバランスを大事にしているよ。ただ、基本的には日本でいい動きをするボードは、海外でもいい動きをするボードなんだけどね。具体的には、クリスもマットもいくつかモデルがあるから、「SURFBOARD」のペ−ジを見てほしい。
—ラインナップしているモデルの中で、特にお気に入りのもデルはありますか?
糟谷:去年、いろんな波で活躍してくれたのがOPっていうモデル。波のどんなセクションでも走っていくし、初心者から上級者までレベルに関係なく楽しめるボードだね。パフォーマンスボードで言うと、クリスのJOPとT-CONZがかなりお気に入りだよ。いいパフォーマンスができなければ、サーフィンしていてもおもしろくない。波に応じていいボードを持っていないと楽しめないから、サーフィンをする気にもなれない。これが自分が一番こだわるサーフボード選び、シェイパー選びだね。世界を回り、いろんなボードに乗ってきて、今でも他のシェイパーのボードにも乗ることはあるけれど、そこだけは譲れないところだよ。
—二人のシェイパーは普段どこでサーフィンしているんですか?
糟谷:クリスはハワイに引っ越してきて、今、家はロッキーポイントの目の前にあるんだ。マットは同じくノースショアのププケアに住んでいる。二人ともハワイを中心にサーフィンしているよ。
—現在取り組んでいるサーフボード・デザインについて、できる範囲で教えてください。
糟谷:今あるモデルをベースにさらにいいものを追求していく、っていう考えが根本にある。その上で、クリスはオジー・ライトに小波用のボードを削ったんだけど、それに乗ったら素晴らしくスピードをつけられるんだ。波のパワーのないところでも、ぐんぐん加速していくし、そのスピード感が足に伝わってくる。それでも動きは少しも損なわれていなくて、トータルで見ていいバランスが取れているボードだよ。どんなにスピード性能に優れていても、思うようにパフォーマンスしてくれるボードじゃないと、サーフィンは楽しくないからね。これは自分がサーフボードで一番こだわるところだし、譲れないところだね。
サーフボードのデザインについては、けっこう流行り廃りがある。マットはその辺りを上手く取り入れながら、特に日本の波にあったデザインを考えているよ。
—チームライダーには誰がいるんですか?
糟谷:日本では(河村)海沙。海沙はJOPっていうモデルが大好きで、コンテストで使うJOPは、普段は絶対に乗らないくらい。
—CJホブグッドやダミアン・ホブグッドといったトッププロが乗るボードを、どのようにしてアレンジして一般サーファー向けのボードへと仕上げていくんですか?
糟谷:やっぱり、いいボードは基本的にどこで乗っても、誰が乗ってもいいボードなんだよね。だから、同じロッカー、同じレール、同じボトムデザインで、乗り手となるサーファーのレベルや体型、普段乗っている波に応じてディメンションをメーカーとなるこちらが変えてあげる。そうすることで、いいボードの本質を自分にあったサイズで感じることができるんだ。
—SKサーフボードのこだわりを教えてください。
糟谷:世界のトッププロが乗る本当にいいボードを、一般のサーファーにも乗ってもらいたいっていう気持ちが強いんだ。こんなに違うんだよ、っていうのを感じてほしい。スキルに関係なく、どんなサーファーにもね。いいボードを手に入れるっていうことは、出合いだと思う。いいボードであれば、サーフィンはもっと楽しくなるはず。いいボードと出合えないことで、サーフィンの本当の楽しみを感じられないなんてもったいないからね。SKサーフボードに乗れば、サーフィンに対する世界観が変わると思うよ。



























